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2007.03.19 無鄰菴
今年は, 花粉が舞い散る時期が早く, 長く苦しい日々が続いてらっしゃるかたも多いかと思います. 私もたいへんなことになっていましたが, それでも気にせず外出したとき,
いいところを見つけました. それは, 京都市左京区にある「無鄰菴」です.
「無鄰菴」は, 明治・大正の元老であった山県有朋(やまがた・ありとも)の別荘です. 1894(明治27)年に造営が始まり, 1896(明治29)年に完成しました.
明治時代の名園として, 国の「名勝」に指定されています. 作庭したのは, 平安神宮の庭園を手掛けた造園家の小川治兵衛です. 東山を借景として,
庭にある池の水は疏水から引き込んでいます.
庭の西側には, 木造2階建の母屋, 茶室, 煉瓦造2階建の洋館という3つの建物が配置されています. 母屋は雁行配置で, 「座敷⇔縁側⇔庭」というつながりをもつ空間構成が特徴です.
縁側と庭の境界はガラスで, 縁側と座敷の境界は障子で仕切られています. そのため, 入れ子状になっている様子が外観からよくわかります. 茶室は,
庭に面して縁台があったりして, 庭を眺めるという意識が強く感じられます. 洋館の2階は, 日露戦争の開戦直前に外交方針を決めるための会議が開かれたそうです.
1階の壁がレンガで, 2階は格天井となっており, なんとも深長な空間となっています.
今回「無鄰菴」に行ったのは, 放射冷却の影響で少し冷え込んだ朝だったんです. そのため, 澄んだ空気に日が差し込み, 空間に緊張感が走っていました.
その影響か, 母屋の座敷に座ると, しーんっと静まり返った庭がどんどん近づいてくるんです. しかし, 一歩でも庭に足を踏み入れると, サラサラと水が流れ,
草木が風に揺れる音が聞こえてきます. 庭が生きていることを実感しました.
ちなみに, この「無鄰菴」の茶室と母屋の和室は, 1回につき3500円で借りることができるようです. とてもいい気分で一日が過ごせるんじゃないでしょうか.
UZULAB-ma.
母屋一階の座敷から庭をみる
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